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はじめに

『Attic Room』にご訪問ありがとうございます。
屋根裏部屋でひっそり生息するチェスナットです。

イタキス二次にドはまりして以来、妄想の日々で、よせばいいのに、自分でもお話を書いてみました。

そんな文才のない私のお話を、読んでやろうという奇特な方(笑)、拙い文章で、お恥ずかしい限りですが、どうぞ、お付き合い下さい。
基本的に毎週日曜日朝9時更新をしています。

また、ブログ開設にあたり、応援してくださった方々、この場をお借りして、感謝申し上げます。

なお、多田かおる先生原作『イ/タ/ズ/ラ/な/Kiss』の著作権管理者、出版社、その他映像等関係者とは一切関係ありません。

チェスナット
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『半分、黒い。』49


後ろからハーハーと息づかいか聞こえる。

俺は一体、何してるんだ?
走りながら考えていた。
別にこいつを引っ張って走って来なくても良かったんじゃないか?

「ま、待って!待って!」

追いかけられているわけでもなく、何かから逃げる必要もない。

「も、もー無理ー!」

そもそも、こいつがどうなろうと無視して帰ればよかっただけじゃないのか?

「く、くるしーー!」

こいつはあの長髪男と一緒だった筈だから、そいつに任せとけば良かったんだ。

「い、入江くん!腕、い、痛い!」

俺は急に立ち止まると、琴子は止まりきれずに俺にぶつかる。
「ぐえっ!」

俺は、自分で琴子の手を取っていながら、その手を振り払った。
「きゃっ!」
勢いで琴子が地面にへたり込んだ。

荒い息をしている琴子。

「なっ!なっ!なんっ…でっ…!?」

何故かだなんて、俺自身も何がなんだか分からないまま引っ張って来たんだから。

「どこか行くか?」

俺は、一体何言ってるんだ?

「…。」

へたり込み、肩で息をしながら俺を見上げる琴子。

「嫌なら帰る。」

俺が去ろうとすると、琴子は俺の足にしがみついてきた。

「い、行きます!行きたいです!」

男の足にすがり付く女の様子を、通行人がジロジロ見て通りすぎていく。

琴子の腕を持って引き上げ、立たせた。
足元がおぼつかない琴子の脇を支える。
「い、入江くん…?」
「ちゃんと立てよ!」
「ご、ごめんなさい。」
何とか足を踏ん張る琴子。

「どこか行きたい所あるか?」
「えっ?」
戸惑う琴子。

「え、えっと…。うーんと…。っていうか何で??」
そりゃ、そういう反応も分からなくもない…。

「やっぱり帰る。」
俺は再び踵を返す。

「あ、あの、この近くに大きな公園ってある??」
「あるけど?」
「そこって、おーきな池があったりする?」
「ああ。」
「そ、そこ!!その公園に行きたい!!」
「…。」
琴子の言葉にあることが頭をよぎった。

まだ琴子の母親が生きていた頃、俺も一緒によく遊びに行っていた公園…。

もしかすると、俺との事を思い出すかもしれない。
いや、俺は別に思い出してほしいわけでもない。

「ダ、ダメ?」
「別にいいけど。」
「やったー!」
琴子は笑顔を見せた。

まあ、単なる罪滅ぼしの様なものだ。特別な想いなんてなにもないのだからと、昔の事は考えないようにした。

* * * * * * * * * *
あとがき

無理矢理の井の頭公園(笑)

『半分、黒い。』48


久しぶりに琴子目線です。

* * * * * * * * * *
『よし!今日は打ち上げだ!』
須藤先輩の呼び掛けで打ち上げをすることになったけど、須藤先輩は、あたしには来るなって言った。

あたしのせいで、試合が不戦敗になったから、打ち上げが盛り下がるって。

そんな言い種ないんじゃない?って思ったけど、確かにあたしのせいで、テニス部に迷惑かけたのも事実だし、仕方ないよね。

後で聞いたら、打ち上げに参加したのはたったの数人だったとか…。お気の毒さま。

もちろん、入江くんは、さっさと帰ったみたいだし、参加してない。入江くんが参加したら、女子部員全員参加しただろうけどね。

試合の帰り、鴨狩くんと駅まで一緒に帰った。

「相原、日曜日にさ、スポーツ用品店に行かないか?」
「え?」
「ラケットのガット張りしなきゃなんねえだろ?」
「あ、そうだった!」
「吉祥寺に専門店があるんだよ。」
「ふ、ふーん。」
吉祥寺…。確か、入江くんと松本さんが映画行くって言ってたっけ。

「勿論、他に予定がなかったらだけど。」
「だ、大丈夫だよ。」
「そっか!じゃあ、10時に駅の改札でいいか?」
「う、うん。」

ーーーーー

日曜日。
鴨狩くんと待ち合わせをして、スポーツ用品店へ向かう。

ラケットのガット張りを依頼して、仕上がるまでの間、近くのレストランに入った。

代金が思った以上にかかって、持ち合わせがなくなってしまった。

鴨狩くんに、『奢ってやるから昼飯食べようぜ』って言われたけど、奢ってもらう理由がないからと断って、ドリンクだけ注文した。

その時、ラケットが無くなったり、ガットが切られたりしたことは、2年の先輩の仕業だ、入江くんのせいだって言われた。

でも、そもそも、あたしがキチンと管理してなかったのが悪かったんだし、むしろ入江くんに迷惑をかけてしまったあたしが悪いんだよね。


そろそろ時間かなってスポーツ用品店に向かった。
ガット張りが仕上がってて、鴨狩くんは、リストバンドとかを買うらしく会計に並ぶ。鴨狩くんが『ラケットは持っててやるよ』って言うから、あたしは先に店を出た。

店を出た瞬間、男の人の肩にぶつかる。

「あいててて!」
「おい、大丈夫か?」
「骨が折れたみたいだ!」

目の前で繰り広げられてることがいまいち理解できなかった。だって、あたしの肩は、全く痛くないんだもん。それなのに、体格のいい男の人の肩の骨が折れるの??

「す、すみません。」
ぶつかったのはあたしの方だからとりあえず謝った。

「おい!どうしてくれるんだよ!ダチが大怪我したじゃねえか!」
「イテテテ。」
大袈裟に肩を押さえる男の人と、あたしに怒鳴り付けてくるもう一人の男の人。

「え?あたし、痛くありませんけど。」
そんな痛いはずがないと反論した。
「は?こいつが嘘ついてるっていうのかよ!」
男の人がすごんでくる。

「あ、あの…。」
あたしがたじろんでると、後ろから声がした。
「今、119番しましたから、救急車で病院へ行きましょう。」

「へ?い、いい!お、覚えてろよ!」男達は、その場から去っていく。

「ふん!覚えてられるか!」
あたしはその声に驚いて振り向いたかと思うと、「行くぞ。」と手を取られて連れていかれる。

どうして…?

鴨狩くんを店に放ってることなんて、考えられなかった。

* * * * * * * * * *
あとがき

琴子を連れていった人物は?
バレバレですよね~

『半分、黒い。』47


シングルスは、優勝した。

女子の優勝は松本と言いたいところだったが、どうやらミックスダブルスで相手と息が合わず、調子が狂ったようで、シングルスでは準優勝だった。

「よし!今日は打ち上げだ!」

と須藤さんが俺の肩に手を回してきたが、その腕を剥がし、「入江、絶対来いよな!」と背中で聞こえたが、無視して帰路に着いた。

途中の駅まで松本が付いてきて、日曜の予定をペラペラと話していたが適当な相槌をうつのみだった。

ーーーーー
日曜になり、正直面倒だなと思ったが、自分から言った手前、仕方なく松本との待ち合わせ場所に向かう。

映画は、昼からのチケットらしく、先にランチを食べて映画の予定だった。
レストランでランチを食べていると、聞きなれた声が聞こえてきた。

「今日はありがとう。」
「いや、俺も丁度新しいラケットを見たかったから。」

声の主は、琴子と長髪男だった。

松本からは死角になっていたようで、気がついていないようだった。俺も知らないふりをしてオーダーしたコーヒーを飲む。

「それにしてもひどい話だよな。相原のラケット、隠されてその上ガットが切られたなんて。」
「う、うん…。」
「その仕業は、絶対入江ファンの奴らに決まってる。」
「そ、それは、分からないよ。何の証拠もないし…。」
「いや、絶対そうだ。相原、気がつかなかったか?俺たちが探し回ってるのを笑いなが見てた奴らが居たじゃないか。」
「そ、そうなの?」
「俺が思うに、2年女子の先輩たちだと思うんだ。」
「な、なんで??」
「だってな、相原が入江と組むことになったって決まったとき、凄い剣幕で須藤先輩に抗議してたんだよ。」
「そ、そうなんだ。」
「それだけ憤慨してたくせに、二回戦の後、俺たちが探し回ってたとき、妙に上機嫌で、相原の事見ながらヒソヒソ話してて。『うまくやった』とか、『ザマアミロ』とか、ちらっと聞こえたんだよ。」
「ふ、ふーん。」
「相原…。もっと怒ってもいいと思うぜ。入江のせいでこんなことになってよ。」
「う、うーん。でも、それが入江くんのせいとは言えないでしょ?」
「は?」
「だ、だって、もしそれが本当でも、入江くんが指示した訳じゃないし、みんな大人気の入江くんとダブルスが組みたいのに、それがあたしだったから。それに、ラケットをちゃんと管理してなかったあたしが悪いんだよ。」
「はあ…。相原お前ってやつは…。」
「結局三回戦までにラケットが見つからなくて試合に間に合わなかったから、入江くんには悪い事したなって…。ラケットは、誰かに借りてでも、試合に間に合わせるべきだったんだよね。」
「…。」
「そろそろガット張り、終わったかな?」
「そうだな、行こうか。」

そんな会話が聞こえた後、二人は出ていった。
俺たちには気がつかなかったようだ。

俺はコーヒーを飲み干すと席を立った。
「帰る。」
「え?ま、待って!これから映画よ。」
松本の制止を聞かず、テーブルに金を置くと、店を出た。

琴子と長髪男の会話を聞いて、俺は思うところがあった。

不戦敗の試合のあと、更衣室についてきた2年の女が話していたこと。
何故琴子がラケットを無くしたと知ってたのか。
あの時感じた違和感はこれだったのだ。
それなのに俺は…。

「くそ!」
俺は2年の女の事よりも、琴子へ向けた自分の言動に腹が立った。

* * * * * * * * * *
あとがき

何話か書けたので、こちらをアップしました。

設定に無理がありそうな気がしますが、お付き合い下さると嬉しいです。


『伝えたい想い』4


琴子は、さっきまで嬉しそうにしていたのに、急に泣き出すなんて。妊娠による情緒不安定、いわゆるマタニティーブルーかもしれない。

とにかく落ち着かせようとするが、琴子の涙は止まらない。
「ごめんね…。」
琴子は、何も悪くないのに、なぜ謝るのか分からない。

泣いているため、マスクが口に張り付いて、息苦しそうだ。
マスクを外して、涙と鼻水を拭いてやる。
俺に迷惑ばっかりかけると言う琴子だが、琴子の迷惑なんて、毎度のことで、俺は、何とも思ってないのに。

それでも琴子は、謝ってくる。
琴子は、俺が琴子に迷惑をかけられて怒ってるとでも思っているとでも?

これじゃ、買い物なんて無理だと判断する。

「もういい、帰ろう。」
俺は、琴子の手を引いて立たせようとした。

琴子は、立ち上がろうとしたが、急に口元を手で押さえる。
「ごめん…、吐きそう…。」
琴子は、前屈みになりながら、ベンチに座る。

まだ悪阻が収まっていないのに、出掛けたのがまずかったか。

琴子は、何とか嘔気を我慢しようとしている。俺は、隣に座り、少しでもマシになるようにと、背中を擦ってやるが、なかなか収まりそうにない。

琴子の目から益々涙が溢れてくる。辛いんだろう。吐いてしまえば楽になるだろうに。
俺は、擦るのを止めて、琴子の前に立つと、両手で受けるようにする。
「大丈夫か?ここに吐いていいぞ。」
だが、琴子は、慌てて立ちあがり、首を激しく横に振ると、お腹を押さえながら、フラっと倒れこむ。

「琴子!」
俺は、咄嗟に支える。

俺が大きな声を出したせいで、人が集まってきた。店員を見つけると、
「私は医者です。妻が目眩を起こしたようです。申し訳ありませんが、医務室に案内していただけませんか?」
琴子を軽々と抱え、店員の案内で医務室へ向かう。

俺の背中に変な汗が流れていくのが分かった。

行き交う人々からの視線を感じたが、仕方ない。

* * * * * * * * * *

あとがき

咄嗟に手で受けようとする直樹が気に入ってます。
プロフィール

Author:チェスナット

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